五感を使うエンバーミング
- 2018年7月24日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年3月24日
こんにちは。
ときどき、「体力勝負だから大変でしょ?」なんて、声をかけていただくことがあります。
まぁ確かに、体力勝負ではありますし、自分の身体のメンテナンスに気を付けるようになりました。
しかし、エンバーマーって体力があればいいっていうものではないんですよ。
エンバーミング前からエンバーミング後まで、体力だけでなく五感をフル稼働させています。
まずは故人様とお会いし、ご挨拶をして心を通わせます。これは、第六感?
心を通わせたあと、故人様のお身体の状態を確認します。
詳しく書けばきりがなくなってしまうので、一部を紹介しつつ
どう五感をフル稼働させているのかを、ご説明していきますね。

☆視覚
視覚から得る情報は約8割と言われています。
故人様のお身体をよく見るというのは大切なことですね。
お肌の色、変色のある場所や種類、浮腫み、水ほう、床ずれ、傷あと、手術のあと、等々。
お身体の状態だけではなく、表情や顔立ちも よーく、よーく見ます。
☆触覚
見ることで得たお身体の状態を、触れることにより より詳しく分かるようになります。
お肌の強さ、浮腫みの強さ。変色があれば取り除けそうか、軽く押してみたりもします。
また、お肌の感触でエンバーミングの薬液が全身に行き渡っているのかを判断します。
☆嗅覚
故人様は においでも、お身体の状態を教えてくれます。
口腔内のにおい、床ずれのにおい、壊疽のにおい。
それぞれ違うにおいで、お身体の状態をお知らせしてくれます。
☆聴覚
エンバーミングの薬液を送り出してくれるエンバーミングマシン。
薬液の残量が少なくなってくると、少しだけマシンの音が変わります。
その音で、薬液の残量を確認し、十分に薬液が行き渡っているのか、
もう少し必要なのかを判断します。
また、エンバーミングで器具を使用する際に、できるだけ音をたてないように気を付けていますが、
ガチャガチャ音を立ててしまっていると、気を付けないとな、と思いますね。
故人様にも「うるさい! 」って叱られちゃいますしね。
ここまでで4つの感覚を使ってエンバーミングを行っていますね。
最後に味覚です。
味覚?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、エンバーマーは何を味わっていると思いますか?
エンバーミングに必要な書類に、「死亡診断書」「依頼書」できれば「生前の写真」とありますが、
この3つから、故人様がどんな方だったのか想像を膨らませて、
その人らしさや、その方の人生を少し味わいつつ、エンバーミングを行っています。
意外にも、この「どんな方だったのかな」と想像することは、大切なのではないかと思っています。
故人様が教えてくださっていること、故人様の小さな変化を見逃さないためにも、
体力をつけるだけでなく、五感を磨くこともエンバーマーには必須だと私は思っています。
それでは、またお会いしましょう。
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