
こんにちは。
今回はエピソードシリーズ3回目。
私とご家族のちょっとしたお話…を書いてみたいと思います。
エンバーミングは専用の施設でしか行うことができません。
そのため、故人様をその施設にお連れしてエンバーミングを行います。
エンバーミングが終わり、故人様のご自宅へとお送りするとき、
ジーエスアイでは私たちエンバーマーが同行することがあります。
故人様をご自宅へお送りし、ご家族との対面をされた後、
ご家族にお化粧が不自然ではないか、肌の色、唇の色、髪型が
いつもの感じかどうかを伺います。
その時は、前髪をもう少し横に流してほしいというご要望があったので、
私が故人様の髪型を整えていると、「何かが違うけど、なんだろう」と
少し考えていらっしゃいました。
分け目が違うのか、もっと横に流すほうがいいのか伺ってみたものの
「んー」という感じで、どうすればいいのかなと思っていたところ、
「この写真は自撮りだから、本当は前髪を流す方向が逆?」ということになり、
これまで整えていた前髪を左右逆へと整え直しました。
故人様愛用のヘアワックスやドライヤーを持ってきてくださったりしつつ、時間が流れ…。
「あっ、そうそう。いつもの感じになった!」と、一安心な瞬間がやってきました。
「みなさんがお顔に触れたりしてお化粧がとれてしまったり、髪型が崩れてしまったら、
みなさんで整えていただいても大丈夫ですけど、どうしていいのか分からなかったり
迷ったら、一緒にさせていただくので呼んでくださいね」と、この日は終わりました。
次の日。
「心配なところがあるとかじゃないみたいなんだけど、午後からお参りに来る人がいるから来てほしいって。」と、連絡が入りました。
ご自宅へうかがうと、故人様愛用のヘアワックスとドライヤーをそっと持ってきてくださいました。
ご家族とお話をしつつ故人様の髪型やお洋服を整えていると、
いろんな思いが湧き出してきてしまったようで、涙ぐまれていました。
私が手をとめると「ごめんなさいね」なんて言ってくださいましたが、
私としては昨日会ったばかりの私に少しでも気持ちを吐き出してくださり、
心許してくださっているんだと感じる時間です。
故人様をお送りしたときは、気丈にふるまわれていたご家族。
次の日は、また違う雰囲気のご家族。
時間や日が経つと、ご家族の雰囲気や表情が変わってくることがあります。
これは、ご家族と時間を共にする中で私自身が経験してきたことで、
ご家族に教えていただいたことです。
ご家族と時間を共にしなければ、分からなかったことかもしれないなと思います。
エンバーマーとして、技術的なことでお手伝い出来ることに囚われず、
ご家族と過ごす時間の中で出来ることがあるかもしれないと教えていただいたのでした。
それでは、またお会いしましょう。
ちなみに、過去のエピソードはこちら
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