「エピソード8」
- GSIエンバーマー
- 2022年7月29日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年3月24日

こんにちは。
暑いですねー! 少し動くだけで汗だくになるのに、防護具を身につけてのエンバーミング。
防毒マスクにビニールエプロンにグローブ2重。自分の汗で手がふやけるという現象が起こります。なんだかちょっと嫌ですよね……。
私とご家族のちょっとしたお話を綴ってみるエピソードシリーズ8回目。
今回も、ある日の出来事についてお話したいと思います。
エンバーミングセンターに故人様が到着されました。10代の少女です。
その少女は、亡くなった病院から直接、エンバーミングセンターへやってきたので、
体温はまだ残っていました。しかし、うっすらと両耳がうっ血し始めていました。
私は「一人でよく来たねぇー」なんて少女に話しかけ、エンバーミングを始め、エンバーミングが終わったのが夜遅い時間でしたが、少女は自宅へとお戻りになりました。
次の日、ご家族がとても喜んでくださっていたことを、搬送のスタッフが報告してくださいました。
少しうっ血していた耳が綺麗になっていたことも、ご家族は喜んでくださったようです。
エンバーミングでのうっ血除去は、お亡くなりになってから時間が経ってしまうと難しい場合もありますが、その少女は病院から直接、エンバーミングルームへ来てくださいました。そのこともあり、キレイにうっ血をとることができました。
そして、エンバーミングによる内側からの血色も作用したことで、喜んでくださったのだと思います。
私はお通夜までの間、メイク直しへと2度ご自宅へ伺いました。
ご家族とお会いするのは何度経験しても、とても緊張します。1度目も2度目も少女のお母様が対応してくださいました。
1度目のメイク直しの時は、少女のお身体のことで心配なことを伺ったり、少女が人の名前を聞くのが好きだったとのことで、私の名前をお母様がメモしていらっしゃいました。何度も何度も「エンバーミングって凄いですね」とおっしゃっていたのが印象的でした。
2度目にお会いした時、「その後、いかがですか?変わりなくお過ごしいただいてますか?」と伺うと、お母様が「見るたびに表情が変わるの!お父さんが遅く帰ってきた日、怒った顔してたの!」と。
「えっ、そうなんですね。私は大丈夫かな。今日は怒っていませんか?」とお母様に伺うと、少女の顔をじーと見て「うん、大丈夫。大丈夫ね」と返事がきたので、「良かったー」と私は安心しました。
お母様はこの日も「エンバーミングって凄いですね」と何度もおっしゃっていました。
「本当に心が救われました」と。
ドラマに出てきそうな言葉をエンバーマー人生で聞くとは思っていなかったので、心の中で驚いたのを覚えています。
その言葉に驚きながらも「部屋の温度や湿度の管理を毎日してくださっていたから、変わらずに過ごしていただけたんですよ」とお伝えすると、お母様は「いつも、そうやって過ごしてきたから、いつも通りに過ごしていただけです」とおっしゃっていました。
私の心の中には「本当に心が救われました」という言葉が響き続けました。
きっと、2度メイク直しに伺わないと聞けなかった言葉。
ドラマのような展開を引き起こすエンバーミングって凄いなと、しみじみと思い、エンバーミングを施すことができるエンバーマーで良かったと久々に思えた出来事でした。
このご家族との思い出は、まだあるのですが今回はこの辺りで。
それではまた、お会いしましょう。 ▼過去のエピソードはこちら エピソード7
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